日経新聞2016年9月16日付によりますと、東京都渋谷区は、2020年に向けて増加が見込まれる訪日外国人対応のため、2016年10月からホテルの建築規制を見直します。
渋谷区のホームページによると、
「条例制定から10年、厳しい規制により新規のラブホテル建築を抑制してきましたが、その一方で一般ホテルの建築も困難となる面もありました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を前に、区内のホテルの客室数が不足していることもあり、従来のラブホテル建築については厳格化を図りつつ、一般ホテルの建築について一部規制を緩和することにしたものです。」(
渋谷区 - 「渋谷区ラブホテル建築規制条例」)
本改正前はフロント・ロビーの設置階を建物の1階、食堂・レストラン・喫茶室、および会議室・集会室・大広間などを建物の1階または2階に設置する必要がありました。この規制のため、オフィスビルの上層部をホテルとして使用することができず、渋谷区内のホテル建設の妨げとなっていました。
今回「ラブホテル」の定義が見直され、下記の項目を
満たさない場合は「ラブホテル」とみなされることになりました。
- 外部からフロント及びロビーを見通すことができ、営業時間中に自由に出入りすることができる玄関(従来は「設置階1階」の規制がありました)
- 受付、応接の用に供する帳場、フロント等の施設(従来は「設置階1階」の規制がありました)
- 自由に利用することができるロビー、応接室、談話室等の施設(従来は「設置階1階」の規制がありました)
- 食堂、レストラン又は喫茶室及びこれらに付随する厨房、配膳室等の施設(従来は「設置階1階または2階」の規制がありました)
- 会議、催物、宴会等に使用することができる会議室、集会室、大広間等の施設(従来は「設置階1階または2階」の規制がありました)
- 帳場、フロント等から各客室に通じる共用の廊下、階段、昇降機等の施設で、宿泊又は休憩のために客室を利用する者が通常使用する構造
- ユニットバス(バスと便所が製造工場で一体成型されたものをいう)を備えた18平方メートル以下の一人部屋の床面積の合計が、全客室の床面積の合計の3分の1以上である構造(総客室数100室以上の場合は適用対象外になります)
- 総客室数の5分の1以下のダブルベッド(幅1.4m以上のものをいう。)を備えた構造(総客室数100室以上の場合は適用対象外になります)
- 客室の外部に面する窓ガラスが透明ガラスであり自然光を遮蔽するフィルム等が貼りつけていない構造
- 客の性的感情を刺激しない清楚な内装、照明、装置、装飾品等の内部設備
- 青少年の健全育成及び附近の住民の生活環境を損なわない素朴な外観
(注1)原則として、1番~3番の施設は1階に、4番~5番の施設は1階又は2階に配置する構造でなければなりません。
(注2)3番~5番の施設は、客室の収容人員の区分により、下表の床面積を有していなければなりません。
詳細は渋谷区ホームページ、日本経済新聞をご参照ください。
渋谷区ホームページ - 渋谷区ラブホテル建築規制条例
日本経済新聞 - 渋谷区、ホテル建てやすく 10月に改正条例施行、訪日客に対応
2020年に向けて訪日外国人増加が見込まれ、「都内でホテルの予約ができない」「ホテル価格が上昇している」と言われてきました。民泊の規制緩和も検討されていますが、今回の条例改正で渋谷区内のホテル不足が解消されれば、インバウンド対応力の向上につながることでしょう。