2015年7月4日土曜日

フィリピン現地で取材!フィリピンで英語が公用語化した理由

あまり知られていないかもしれないが、フィリピンは英語を話す人口が、アメリカ合衆国、イギリスに次いで世界第3位の国である。話している英語もアメリカ英語の発音に近く、英語力としては東南アジアNo.1である。この英語力がフィリピン人の強みとなっており、世界中のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点になっていたり、逆に、フィリピン人が世界各国で活躍するための基盤になっていると言える。この英語力の高さを利用し、Skypeを使ってフィリピン人が英会話レッスンを提供する会社も多く出てきている。私が経営する(株)グローバルブレインスクエアでも、フィリピン人の英語力を生かした翻訳サービスやグローバルWebサイト構築サービスを提供している。

グローバル化された都市:フィリピン マニラ
グローバル化が進んだマニラの街並み
  
ところで、フィリピンの現地語は何だかご存じだろうか?

公用語になっているフィリピン語と、フィリピン語の元となったタガログ語を話す人は多い。たしかに、マニラであればタガログ語が通じることも多いだろう。しかし、セブ島の現地語はセブアノ語であり、まれに、タガログ語で話しかけてもわからないことがある。同様に、マニラでセブアノ語を使ってもわからないことがある。こうした現地語の違いによって意思疎通できないことが、7,000を超える島から構成されるフィリピン国内ではいたる所で発生するのだ。

7,000以上の島から構成される国 フィリピン共和国


では、フィリピン国内にいくつの現地語があるのだろうか?

なんと、186種類の現地語が存在するのだ。(そのうち4つは既に使われなくなっているため、実際は182種類。出典はhttp://www.ethnologue.com/country/PH)

現地のフィリピン人にヒアリングしたところ、この現地語の多さがフィリピンで英語が公用語として普及する要因の1つとなったのは間違いない、とのことである。特に、教育の世界ではフィリピン国内でも多くの地域から優秀な人材が集まるマニラ大学を中心に、特に理数系の科目は英語で授業が行われ、専門用語は全部英語で覚えてしまう。逆に、専門用語をフィリピン語で何と言うか聞かれてもわからないとのことだ。
この文化的背景は、国全体で日本語が通じる日本とは大きく異なるだろう。「フィリピンは英語が公用語化しているのだから日本も公用語化しよう」、ということではなく、こうした背景の違いを理解しながら、日本における英語の位置づけを考えねばならないだろう。



Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...